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Music From Big Pink 50周年版を築40年の家で聴く。

Music From Big Pink

私はリーヴォン・ヘルムとリック・ダンコをナマで見ています。

とはいっても、ザ・バンドとしてではなく、リンゴ・スターの「ヒズ・オール・スター・バンド」の一員としてではあるのですが。

遡って当日のことを調べてみると、リンゴをはじめとした錚々たるメンバーによるセットリストの中に、ウェイトやクリプル・クリーク、シェイプ・アイム・イン、さらにはリック・ダンコが歌う「Rainin’ In My Herat」まで並んでいます。

いやぁ、よかったよなぁ〜、いまでも情景がありありと浮かんでくるよ〜と、遠い目をしながら自慢話の一つでもしてみたいところですが、ゴメンなさい、この日のことはほぼ覚えていません・・・。

そして、あの日のことを振り返るたびに、そのことを悔やむのです。

いたしかたなかったこととはいえ、当時の私はあまりに無学でした。

だから私は謝るのです・・・あの日の自分に。

ところで、Music From Big Pinkの存在は、そのリンゴ・スターの初来日公演の前後あたりに知ったと思います。

とはいえ、これも記憶が定かではないのですが。

キャピトルの輸入盤、レーベルはリイシューのレインボウ・レーベル。手に入れたのは秋葉原の石丸電気のレコード館だったかな。

今も昔も、様々な例えや形容詞、ロックの歴史やなんやかやとともに大層な名盤として紹介されるビッグ・ピンク、ワクワクしながら針を落としたものです。

そして・・・

ウ ぃ 〜 ケーオぉビュ〜〜〜〜・・・・・

うわぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜・・・・・ゴメンなさい・・・まったくわかりませんでした・・・。

声もヘン、リズムもヘン、曲もヘン etc。ジャケットに載っている本人たちの出で立ちまでヘン。

第一、この内ジャケットの集合写真、どれがメンバーなのか、よくわからない。

いくらなんでもこの人メンバーじゃないよね、うわ、メンバーなのか・・・(ガース・ハドスンの写真を見て)。

なにからなにまで異質だったのでした。

ホワイトアルバムやエレクトリックレディランドやラストタイムアラウンドとは違ったのです。

どうしようもなく無知だった当時の私、このアルバムの出会いの前後に観たリンゴ・スター&ヒズ・オール・スター・バンドの面白さがが理解できないのは当然のこと、リヴォンやリックの記憶が残っていないのは言わずもがな。

The Weightですら記憶にありません。

そしてこのビッグ・ピンク、はなからこのアルバムを理解することは諦めたということだけは覚えています。

だがそうはいってもなんとなく諦めきれずに、たまに取り出してはターンテーブルに載せ、うわぁぁぁ〜〜〜〜・・・・を繰り返し、数ヶ月、いや数年経っていたかもしれません。

ある日、街のレコード屋の軒先に1,000円で売っていたセカンドアルバム(CD)を買ってみたのです。

諦めきれずに、しかしダメモトでプレイヤーに載せてみたのです。

そして、ようやく、私はすべてを理解することができたのです(そんな気になった)。

「なるほど!そういうことだったのか!」と。

それ以来、私は四半世紀にわたってザ・バンドの音楽を聴き続けているというわけです。

「なるほど!そういうことだったのか!」の「そういうこと」を探し続けて・・・。

さて、私の思い出話はどうでもいいのですが。

そのザ・バンドのMusic From Big Pink。リリース50周年ということで、新装版が出るという。

しかもリミックス版だという。

それもボブ・クリアマウンテンとボブ・ラディックのタッグ。

さらに付け加えれば、4面に分けたアナログ版も出るという。なにやらいろいろあるらしい。

イヤな予感がしました。

リミックスか・・・去年のサージェント・ペッパーズ・・・あぁ・・・ボブ・ラディックか・・・うぅぅむ・・・。

その予感は見事に的中、いや、はじめからバイアスかかっているだけなのかもしれませんが。

私は基本的に「リミックス」は反対、いや嫌い(同じことさ)。

巨匠だろうと何だろうと、往時の制作に関わっていない人間が作品に手を加えて公式にリリースするということがまず理解し難い。

千歩譲って、オリジナル版に携わったプロデューサーやエンジニア、作者などが携わったとしても、それってどうなの、と思う。

オリジナル原理主義かと思われるかもしれませんが、完璧に仕上がっている、そして長きに渡って風雪や人の噂や中傷にも耐えてきた作品を、リミックス(つまりやり直し)することに、全く意味を見出せないのです。

同じ意味で、2面だったものを4面にしたアナログ盤も、なんじゃこりゃです。

このパターン、最近増えています。

高音質なアナログ盤で作品を味わってほしいという気持ちはよくわかります。

しかし、2面で完璧なドラマが構築されているものをわざわざ破壊してまでやらなければならないことなのでしょうか。

たとえばいくら高画質になった映画「ローマの休日」でも、途中で2回休憩入ったら興醒めではありませんか。

いったいどうしてくれる。金返せ!と一悶着起こしたくなってしまいます。

と、まぁ、いつものようにボヤきながらも、聴いてみたわけです。

ブツブツいいながらも、また聴いちゃうわけです。

このリミックス盤、とにかくリチャード・マニュエルがすべてにおいて素晴らしい。

曲も歌も、とにかく情感がじーんわりと押し寄せてくる。

こんなことは従来盤でも周知の事実なのですが、より「体感」できるというか。

沁みてくるのです。

このリミックス盤、そこに意味があるのではないでしょうか。

いや、そこにしか意味がないと言ったらいいのか。

だって、ウェイトの前のカウントとか、意味ないでしょう。

オルガンの合いの手も聞かせたいのかなんなのか中途半端だし。

これ入れるんだったらなぜ最後の合いの手も入れないのかな。

悲しきスージーの冒頭のカウントも、蛇足以外のなにものでもないでしょう。

そして、アイ・シャル・ビー・リリーストのアカペラバージョン、いらんでしょう。

やっぱりダメだ・・・。

でも諦めきれずにまた聴いちゃうのです。
「そういうこと」を探して。

Music From Big Pink
Capitol SKAO-2955

Side A
1.Tears Of Rage
2.To Kingdom Come
3.In a Station
4.Caledonia Mission
5.The Weight

Side B
1.We Can Talk
2.Long Black Veil
3.Chest Fever
4.Lonesome Suzie
5.This Wheel’s on Fire
6.I Shall Be Released

 

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