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ビートルズ のホワイトアルバム・スーパー・デラックス・エディションでは、殺人は起きない。

White Album

あっという間に一年余りが過ぎてしまったビートルズの「ホワイト・アルバム」スーパー・デラックス・エディションです。

50周年記念盤です。

他の2作(Sgt. Pepper’s、Abbey Road)の50周年記念盤と同じく、ジャイルズ・マーチンのプロデュースのもと、本編のリミックス版とアウトテイク集、さらにはハイレゾ音源をひとまとめ。

6枚組という作る方も聞く方も体力戦、という仕様です。

さて、この作品、私は5枚目に収められた「Baby I Don’t Care」〜「Helter Skelter(Take 7)」を聴くためにあると思います。

このキ印っぷり、お馬鹿で忙しなくキレまくり疾走するイカれた演奏、ああ、これぞビートルズです。

美しさに溢れています。

結局ビートルズは、エルヴィスとリトル・リチャードとバディ・ホリーなのです。

忘れられがちですが、これが非常に重要なのです。

眉間にシワを寄せてコード進行がァ〜とか、詩がァ〜とか、イロイロ分析して悦に浸っている場合ではありません。

我々もビートルズと一緒に叫ばなければならないのです。

シェケナベイベー。

さて、こんな至福の音源が「きちんと伝わる」ミックスで収められているにも関わらず、肝心の本編のヘルター・スケルターはナゼこんなことになってしまうのか。

出だしのギターからズッコケるというか、うん?プレーヤー壊れたかな、アンプの故障かなと、束の間の時間自分を疑いました。

しかしどうやらそうではない模様。

もしチャールズ・マンソンが当時このリミックス版ヘルター・スケルターを聴いていたら、あの惨劇も起きてはいなかったかもしれません。

タランティーノの「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」の結末のように、シャロン・テートは命を落とさなくて済んだかもしれません。

まさに歴史がひっくり返るようなリミックスです。

こ、これはもしかして、ジャイルズから我々に課せられた宿題なのではないだろうか?

そうでも考えなければ納得がいかない仰天のミックスだと思うのです。

そしてこのリミックスほど、近年のジャイルズチームによる仕事の症例といえるものもないのではないか。

つまり、ジャイルズ組のリミックスを振り返ってみて、私が常々気になっているのがエレキギターの音色なのです。

ツルツルなのです。

歪みの成分が削ぎ落とされて、私の耳にはもはやエレキギターの音には聞こえません。

考えてもみてください。

ビートルズはギタリスト二人を擁するギターコンボなのです。

さらに言えば、ポールも本来ならギター担当。

諸事情あってベース弾いてるけどさぁ、オレ的にはさぁ・・・ギタリストなんだよね、自分・・・と、本人も思い続けているに違いない。

そんなちょっぴり屈折したところも抱えたギターバンドであるビートルズの、その要の部分、アイデンティティであるそのギターをツルツルにして一体どうする。

・・・と憤りたくなるのは私だけではないでしょう。

遡れば、Live At The Hollywood Bowlのリミックス。

Roll Over Beethovenで聞かせるジョージ・ハリスンのギター、もはやグレッチの音ではありません。

このギターが象徴するようにすべてがツルツル。

オリジナル版には確かに存在していた客席との一体感も感じられない、スタジオ録音に歓声を被せたかのような擬似ライブ盤に聞こえるのがリミックス版ツルツルハリウッドボウルなのです。

まったく、ジャイルズには親父が書いたライナーノーツを100回くらい全文書き取りして今一度襟を正して欲しいものです。

ああ、このままいくと話がRervolution 9ならぬカオス状態になってしまいそうなので、今日はこの辺でGood Nightということで・・・。

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